2017.08.12

タイムレコーダーはどうやって正確な時刻を得ているの?

APPS PASS周りのテクノロジーをわかりやすく解説していきます。第1回目として、タイムレコーダーに必須の「時刻」についてを採り上げます。

勤怠管理ではタイムレコーダーによる出退勤の記録が広く行われています。その際、正確な時刻とのズレがあると、何かと困ることになります。

タイムレコーダーは丈夫で滅多に壊れることがないため、10年以上使い続けているものが沢山あります。そういう古いタイムレコーダーは、時計に水晶発振子を採用していて、1ヶ月もたてば数十秒ずれていってしまいます。わずかな時刻のずれでも「始業時刻」に間に合う、間に合わないは、勤怠管理上は問題になります。

大規模なオフィス、工場や店舗などでは、タイムレコーダーが部署やフロア毎に複数設置されることがあります。公平さを期すために、従業員にとっても、会社としても、すべてのタイムレコーダーが正確な時刻を表示して欲しいものです。

最近のタイムレコーダーは正確な時刻を表示するものが多数あり、そういう問題もかなり解消されてきています。そこで、タイムレコーダーがどうやって正確な時刻を得るのかについて、代表的な二つの方法を説明しましょう。

【標準電波】

「電波時計」という呼び方はここ10年余りで広く知られるようになりました。最近では1000円前後の普及価格帯の置き時計にも採用されるようになり、生活の中に溶け込みつつあります。

電波時計は「標準電波」という正確な時刻を知らせる電波を1日に1回受信して、時刻情報を時計に反映させます。標準電波は世界各地から発信されていますが、日本の場合はJJYという名称で、福島県と、九州の福岡県と佐賀県との県境の2箇所の送信設備から、それぞれ40kHzと60kHzという長波(中波のAMラジオ放送よりも低い周波数)で24時間発信されています。出力は50kWで、中波のラジオ放送局並みの強さです。この電波は地表を伝って1000キロ以上まで伝わりますので、日本の場合小笠原諸島など一部を除けば、この2箇所からの電波のみで全国カバーできます。ちなみに、標準電波の受信には料金は発生しません。

(参考)JJYについて(ウィキペディア)

現在では電波時計を備えたタイムレコーダーが多数販売されています。ただ、建物の奥や地下空間では電波が届かないこともあり、そうした場合は正確な時刻を得ることができず、ズレてしまうことになります。

【NTPサーバ】

コンピュータの内部時計に、タイムゾーンの違い、時刻のズレがあると、異なるコンピュータ感のファイルの同期などに伴う新旧比較で齟齬を来す場合が発生します。それを避ける仕組みとして考案されたのが、インターネットを介して正確な時刻を提供するNTP(Network Time Protocol)サーバです。

(参考)NTPについて(ウィキペディア)

NTPサーバは世界各地に設置され、世界標準時(UTC)で時刻を発信しています。どこのNTPサーバにアクセスしてもかまいませんし、アクセスすること自体に料金はかかりません。日本では日本標準時を提供しているNICT(独立行政法人情報通信研究機構)や、東京天文台、あるいは主要なインターネットプロバイダなどが提供しています。スマートフォンの時計はNTPサーバと同期していますので、大変正確です。

最新のタイムレコーダーでは、NTPサーバにアクセスする機能を持ったものが出てきています。タイムレコーダーから定期的にNTPサーバに問い合わせ、その時刻情報を反映させます。APPS PASSのタイムレコーダーもNTPサーバを使っていて、常に正確な時刻を知ることができます。

この方式のメリットは、標準電波が届かない場所に設置しても、インターネットさえつながる環境であれば、常時正確な時刻を認識できることです。最近は、勤怠管理のクラウド化、勤怠状況のリアルタイム可視化が普及し始めており、インターネットにつながる環境を手に入れることは、以前ほど困難ではなくなりました。今後はこちらの方式の方が主流になっていくと思われます。

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