第四回「シリコンバレーのもう一つの姿」
こんにちは。トーマスワンです。
4回目はシリコンバレーの会社のもう一つの現実を説明しましょう。
日本で問題になるような長時間労働や有給休暇が取りづらい雰囲気、夕方早く退社する際の申し訳なさなどのしがらみが無いのは素晴らしいと思います。
その一方、仕事の成果が上司(あえて”ボス”と書きます)によってドライに評価されます。どんなに人柄が良くても、どれだけ協調性があっても、どれだけ努力をしても、結果がある一定の期間内に見えてこなければ、昇任や昇給しないばかりか、仕事自体を失うことになります。
そういう場面は急速に訪れるものです。例えば、ある日ボスとの面談で、自分のポジションが無くなったり、他の人に代わることを知らされ、事実上の解雇を告げられるのです。ボスはそのボスによって同様に成果を上げられるように求められているので、成果を出さない部下を雇用していると自分にもリスクが及ぶため、決断は早いです。
成果を上げられなかった理由は様々で、スキルとポジションのミスマッチ、ボスとのコミュニケーションのすれ違い、取引先の環境変化によるものなどがあります。
仕事を失うリスクは、成果がうまく上げられていないという理由だけではありません。景気の悪化や事業部門の低迷、企業買収などの自分ではどうにもならない理由でやってきます。私の親しい同僚も、長い社会人人生の中でそうした体験を一度と無く体験しています。アメリカで働くとはそういうことなのでしょう。
アメリカでは、ある会社で成果を上げられなかったとしても、それで失敗の烙印がつくようなことはありません。日本のように退職をネガティブにとらえ、その理由を根掘り葉掘り聞くようなこともしません。幸い、人不足のシリコンバレーでの職探しはあまり長期化しないでしょう。
こうしたリスクに対応するため、大半の人が職務経歴書を常時アップデートしています。最近では、LinkedInの自分のプロフィールを転職活動に活用することが一般的になっています。
日本では履歴書や職務経歴書を常時メンテしている人は多くないと思いますが、アメリカではLinkedInを使って、むしろ積極的に自分を売り出しています。その背景には、失職が多く、転職を前提とした人生計画が求められていることが大きいのです。